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シューベルト ピアノトリオ 第1番 第1楽章

シューベルトには2曲の素晴らしいピアノトリオがありますが、本来は1曲であったはずのピアノトリオがシューベルトの勘違いにより2曲作曲されることになったという話を聞いたことがあります。出典を調査中ですが、2曲目はとにかく大変急いで作曲されたとのことです。

2曲のトリオの1楽章を比べると、Op.99は時間をかけて計画された感じがしますが、Op.100は慌てて書き始めたような感じがします。それでも名曲に仕上げるのはさすがです。しかし2楽章以降は、やる気が出てきたようで、Op.99に勝るとも劣らない名曲に仕上がっています。

 

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シューベルト ピアノトリオ 第2番 4楽章

この楽章は非常に美しく、シューベルトの世界に引き込まれてしまうのですが、演奏するにしたがって延々と続く4楽章に疲れてきてしまいます。そのうちにいつ終わるのだろと心配になるぐらいです。

なぜこのようなことが起こるかというと、出だしのフレーズがとても優しい感じであり、この楽章は楽しいロンドだろうと勝手に思ってしまうからではないでしょうか。

今回楽譜をよく眺めてみると、全く違った様相が現れてきました。一言でいうとこの楽章は緊密に構成されたソナタ形式で書かれており、それをしっかりと再現して組み立てる視点を持たないと迷路に迷い込んでしまうのです。

大まかに区分すると、1-230小節までが提示部です。そして231-539が展開部。再現部は540-758小節。コーダは758-846小節です。提示部が230小節、展開部が769小節、再現部が219小節、コーダが89小節。展開部が非常に大きいのが特徴です。

ここで小節数の表示ですが、新シューベルト全集に準拠したベーレンライター版の表示に従っています。ベーレンライター版はシューベルト原稿に基づくものです。Aritaliaによる初版の出版時に省略されていた部分が表示されています。現代ではPeters版が広く使用されておりますが、これは省略版であり、4楽章は748小節ですから98小節も短いのです。

 

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