フォーレ ピアノ五重奏曲第1番 3楽章

第3楽章 Allegretto moderato
自由な形式で書かれているが、ロンドのように聞こえる部分もありますが、単一主題によるソナタ形式と理解する方がわかりやすいと思います。
ここではソナタ形式として解説します。

非常に個性的で美しい主題です。この主題は分解されて徹底的に使用されます。楽譜1は使用されている主な動機を示していますが、リズムの特徴を使ったり、また、順次進行を跳躍に拡大したものなどほかにも沢山あります。
楽譜1 1小節~
FaureP5No10301では、初めから見てゆきます。
 

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フォーレ ピアノ五重奏曲第1番 2楽章

2楽章:
ソナタ形式 

楽譜1 1小節~
FaureP5No1020
主題の構成からみてゆきます。4+4+4+6小節に分けることができて、A-B-A'-Cという構成です。Aは主題の提示です。これに対してBは応答します。Bには < mf  > の発想記号があり連譜とあわせて軽い感情の起伏があります。A'はAと同じ音型ですがここでも < mf  > による感情の起伏があります。しかしながらCの入りではp sempreが指定されて曲初の静かな表現に戻すことを指定しています。音型は主題が短縮された音型に続いて跳躍のある音型が続きます。このパターンを5回繰り返して終止します。
2楽章を通じて動機M1が使われます.
 

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フォーレ ピアノ五重奏曲 第1番 

作曲された時代の作品:
ブラームス  ピアノ五重奏曲 61-64作曲 1866初演
フォーレ ピアノ四重奏曲第1番 76-79作曲 1883初演
フランク  ピアノ五重奏曲     78-79作曲 1880初演
フォーレ  ピアノ四重奏曲第2番 85-86作曲 1887初演
ドヴォルザーク  ピアノ五重奏曲 1887作曲 1888初演
フォーレ  ピアノ五重奏曲第1番 87-05作曲 1906初演
フォーレ  ピアノ五重奏曲第2番 19 21作曲 1922初演

楽譜について:
ピアノ五重奏曲 第1番については、初版を出版したG.Schirmerが1974年に絶版にしてしまい、Roy Howatの校訂でLeducから出版されるまで約30年間楽譜が入手できない状態でした。Leduc版の序文からいくつかご紹介します。

この5重奏が着想されたのは、ピアノ四重奏曲完成直後の1887年ごろであり、ピアノ四重奏曲第3番とされる予定だった。その後おそらくは第1楽章の提示部がフォーレとイザイ弦楽四重奏団で試演され、それはピアノ四重奏曲を超えるくらいに情熱的で、偉大な試演だということだった。しかし展開部以降に満足できなくて、諸事情もあり、1906年の初めに完成し、初演はブリュッセルでイザイ弦楽四重奏団とフォーレにより3月に初演された。その後4月30日にパリで演奏され、大変な喝采を浴びた。その後2回演奏されている。 出版はパリの出版社に不満を抱いていたフォーレは友人の仲介によりボストンのG. Schirmer社から出版をした。

校訂上3つの問題があり、1番目は、初版に使われたスコアとパーツが別のソースなので矛盾が多数ある。2番目に初版の原稿である手稿譜が出版後も変更されてしまっている。3番目はテンポの問題であり、テンポは初版にだけメトロノームでの指示があるが、当時の演奏習慣が残っていないこと、フォーレ自信によるものではない。指使いなどとテンポが合わないなど、非常に問題が多い。

要点は以上です。

テンポの問題が一番興味があります。
指定されたテンポ、Howatのサジェスション、そして現代の実際の演奏の速さを比較してみました。

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スコアの使い方(3)

スコアを見ながら曲を聴いたり、アドマエストロで振れるようになったとして、次に何をするのでしょうか?全体の構造を把握するというを行ってゆきます。「自分がどこで何をしてるんだろう」という投稿も併せてお読みください。 アイネクライネでいうと、提示部は55小節までです。展開部は75小節までです。再現部は76小節から131節までです。コーダは132小節から最後までです。
 

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スコアの使い方(2)

AdMaestroを使うときには、ぜひスコアを詠みながら指揮をしていただきたいと思います。

前回は弦楽五部についてファーストヴァイオリンの位置がすぐわかるようになること、そしてとにかく最後まで目で終えるようになることをやってみようということでした。
余裕ができたら、チェロバスを見てください。一番したのパートです。ScoreReading

チェロとコントラスは同じ楽譜を使うとご説明しましたが、実際に同じ音を弾いても、コントラバスは記譜された音よりも1オクターブ低く響きます。
バロック時代の初期ぐらいからコントラバスはヴィオローネという名前で合奏に参加していますが、伝統的にチェロと同じ楽譜を使います。
コントラバスのパートが独立するのはベートーヴェンの時代になってからですが、現代でもチェロバスが同じ楽譜で書かれることはあります。

 

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弦楽四重奏のファーストヴァイオリンを育てる(2)

前回は全体の話でしたから、今回は技術的な話にします。
私がファーストヴァイオリンを弾いていて、自分の音程の上ずりに気が付いたのは29歳ぐらいでした。調べてみるとどれも高音域では上ずっています。チェロに、こちらに合わせてよとお願いするわけにもいきませんし、それ以来ずっと努力しています。皆さんの傾向を見ていると、d"位から上ずりが始まります。もっとも、絶対あってると信じているg’がおかしい方が結構いるのも事実です。
その原因がf'にあるならば、最初からやり直しですね。確かにファーストポジションは徹底的に見直して自信を持つ必要があります。

しかし、一般的な傾向として、上昇するメロディで音が上ずる傾向は誰にでもあるようです。これは耳が悪いからでしょうか?たぶん音階の構造自体に原因があるのではないかと思います。音程のことはいろいろの本に詳しく書かれていますが、メロディの自然な音程についてはあまり議論されていないようです。

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自分がどこで何をしてるんだろう (1)

音楽を演奏中に自分はどこで何をしているのか意識したことがありますか?

指揮者だタクトを振り始めたから弾き始めて、曲の終わりまでくればおしまい。曲が短ければよいのですが、長くなってくると後何ページあるのかわからないなんてことはありませんでしょうか。

今回は「どこにいるのか。」の重要性をご説明します。ソナタが一番説明がやさしいのですが、古典的で模範的なソナタ形式は提示部、展開部、再現部とコーダに分かれます。そして提示部の終わりには大体反復記号が付いています。再現部は提示部が繰り返されますので、どこからが再現部かは簡単にわかります。コーダの入りは再現部の終わりです。提示部と同じような終わり方をしてコーダに入るのが普通ですから、これもわかります。
指揮をするにせよ、演奏するにせよ、きっちり構成された音楽でどこのあたりを演奏しているかを、はっきり把握していることは大事です。

 

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スコアの使い方 (1)

アドマエストロを使い始めた方で、少し真剣に音楽と付き合ってみたいという方のための記事です。

モーツァルトのアイネクライネのスコアを入手してください。楽譜屋さんから入手できますが、IMSLPからダウンロードすることもできます。IMSLPでサイトを検索、サイトの検索欄でEine Kleine Nachmusikを検索し、Scoreをダウンロードしてください。譜めくりが間に合わないので必ずプリントアウトして紙の状態で使ってください。

ScoreReading

上の楽譜のようになっています。すべてのスコアはこの弦楽五部を基本にしており、管楽器などほかの楽器は上に追加されてゆきます。この曲はチェロとコントラバスが同じ譜面4段譜です。
 

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