モーツァルトやベートーヴェン、ハイドンも含めてアクセント記号の > を使っていません。声楽曲を調べたことはないのですが、器楽曲については一度も使ったことがないと思います。しかしシューベルトの楽譜を見ると沢山 > が使用されています。例えば下記のイ短調の弦楽四重奏曲です。
シューベルトが>を使い始めたとは思えませんので、彼がピアノ五重奏曲「鱒」を書くきっかけになったJohan Nepomuk Humme(1778-1837)lはどうだろうと思いました。Hummelの五重奏曲にもたくさん>がありますが、手書
確かに使われています。さてそれではHummelの先生は誰でしょう。 実はHummelはMozartの家に8歳の時から2年間住み込みでピアノを習っています。彼は1793年にウィーンに戻り、アルブレヒツベルガーに対位法、サリエリに声楽作品、ハイドンにオルガンを学び、またベートーヴェンと親交を結んでいます。サリエリの楽譜はよく調べていませんが、ウィーン古典派と同様 > は声楽パートにも使っていないようです。
>が使用されてから、古典派がアクセントとして使用したfzなどとの混同が始まり、fzの意味合いが変わってきてしまったのではないかと思います。
この意味で演奏解釈上も > はなかなか興味があります。