ラズモフスキー 第1番 2楽章の チェロのsotto voceの意味は

雑談中に「ラズモフスキー第1番の3楽章のチェロにsotto voceがついているところがある。ほかについていないのだけどなぜだろう?」 97小節から始まる美しいチェロのメロディです。このメロディは24小節でもチェロで歌われますが、そちらはespressivoです。ほかの部分でもsotto voceは書かれていません。

beethop-59no0301図1 97小節Vc
 

私の見解:
ラズモフスキーの1番は全楽章がソナタ形式で書かれている長大な作品で、恋歌といわれる3楽章もソナタ形式です。

下記の図2が第一主題です。
beethop-59no0302

ソナタ形式の概略を示すと下記のようになります。(端折ってすみません)

提示部では第1主題はsotto voceでVnで提示され、第2主題はespressivoでVcによって提示されます。
再現部では第1主題はsotto voceでVnで提示され、第2主題もsotto voceでVcによって提示されます。
ここまで来れば自明なようです。この楽章はコーダ部分の最期に長いVnのソロがあって4楽章に接続します。再現部でチェロにespressivoで朗々と歌われてしまっては曲想と、緻密な構成と驚くような美しさを壊してしまいそうです。ベートーヴェンは確信をもって、sotto voceと書いたと思います。 

提示部:
1-8 第一主題
9-15 第一主題の確保
17-23 推移
24-37 第2主題の提示と展開
38-45 結尾
展開部:
46-83
再現部:
84-113
コーダ:
114-132

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