ブラームス ピアノ五重奏曲 Op.34 第4楽章

第4楽章は491小節あり長大ですが、全体の構成は序奏付きの展開部のないソナタ形式です。

序奏部 Poco sostenuto (1-41)
提示部
第1主題部 Allegro non troppo (42-92)
第2主題部 un pochettino piu animato(93-160)
結尾部 TempoI (161-183)

再現部 
第1主題部 Allegro non troppo (184-249)
第2主題部 un pochettino piu animato(250-319)
結尾部 TempoI (320-340)

コーダ Prest, non troppo
第1主題による (341-391)
第2主題による  (392-466)
コーダ (466-491)
 

 

序奏部
下記の楽譜1,2により自由に構成されています。全体を通じて強調されているcresc+decres.の形はしっかりと示されています。
GPを挟んで第1主題部に接続されますが、テンポは二分音符=四分音符になっていますが、記譜上の問題であり、L'istesso tempoの
意味ではないと思われます。それはPoco Sostenutoの曲想を表すテンポで Allegro non troppo を演奏すると遅すぎるような感じがするからです。
Brahms PQt401                   楽譜1

Brahms PQt402                   楽譜2

第1主題部 Allegro non troppo (42-92)
チェロにより演奏される歌謡的な第1主題を楽譜3に示します。テーマの終わりの方にcresc+decresの表現が現れます。

Brahms PQt403                   楽譜3
70小節から第一主題の動機を反転したフレーズが経過的にヘ長調で現れます。
Brahms PQt409                   楽譜4
81小節から第1主題を変形した力強いフレーズで第1主題部を締めくくります。
Brahms PQt404

この部分を速く演奏するグループもありますが、そのようにする必要性はないように感じます。むしろ次のPiu animatoの効果を減ずる心配があります。

第2主題部 un pochettino piu animato(93-160)
楽譜5が第2主題ですが、ト長調に始まり反復進行をへてト長調で終止していますが、第1主題の明確さにくらべ、うつろい漂うような不安定さを感じます。ヴァイオリンで提示されたあと、チェロに受け継がれます。

Brahms PQt405                   楽譜5 
125小節から、突然3連音符で収束された楽譜6がフォルテで現れます。
Brahms PQt406                    楽譜6
この部分は第2主題部の結尾部に相当しますが、ピアノを主体とした非常に技巧的で華やかな部分です。モティーフ的には主題とは関連していませんがクライマックスを作っております。この部分がなければ3楽章がかなり地味になるでしょうし、コーダとのバランスも悪くなります。 
  
結尾部 TempoI (161-183)
第1主題のモティーフから導かれたフレーズで提示部を終えます。

再現部は忠実に提示部を再現しています。

コーダ部:
コーダ部は第1主題に基づく3連音符による部分に引き続き、Brahms PQt411                   楽譜7
cresc+decresを伴った第2主題に元ずく部分が341小節から現れます。

Brahms PQt412                   楽譜8
そして366小節のフェルマータでいったん終始して、コーダ部のコーダが始まり全曲を締めくくります。

 

 

 

 

 

 

 

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