ベートーヴェン ヴァイオリンソナタ 第6番 イ長調 Op.30-1

ベートヴェンのヴァイオリンソナタ 全曲を演奏会で取り上げている友人と演奏機会があったので6番をお願いしました。初期から中期の様式を確立する過程の作品群として、果たしてどのように演奏するか色々考えていたのです。

ベートーヴェンは当時耳の病に悩みながらも、音楽家としての成功を強く望んでいました。だから成功しなければならない作品と自分の書きたい音楽の間には温度差があったのだと思います。従って交響曲のような作品では第1番(Op.21)、第2番(Op.36)ではハイドン的な要素を踏襲して危なげのない成功をもくろんだのだと思います。

従って、自分の書きたい作品、実験的な作品は小編成の作品で始められたと思います。例えばピアノソナタでは、O.13の悲愴ソナタのころから実験的というか、ロマンティックな傾向が表れています。

交響曲を書くためにも、室内楽で色々試してから取り掛かるベートーヴェンの慎重さが現れています。

だからこの6番のソナタにしても彼が考える新しい様式が人々に受け入れられるかどうかを、少しづつ試しているのだと思います。

このような事情を考慮すれば、6番を演奏するときにはかなり前向きな、ロマンティックな表現をしてゆくのが正しい解釈のような気がします。

但し、中期を超えた時点のような演奏になってはいけないのだとも思います。

 

第1楽章: Allegro
提示部
1-19 第1主題 提示
20-33 経過部1
34-49 第2主題
49-67 経過部2
67-83 結尾部

展開部
83-94 第1主題による展開。cresc. f, decresc.に意味がある。
95-102 第2主題による
102-114 第2主題の動機による展開
114-118 第2主題の動機と経過部2による展開
119-150 第1主題の動機と結尾部を組み合わせた展開

再現部
150-168 第1主題 提示
168-186 経過部 多少変形されている
187-202 第2主題
202-220 経過部2
220-234 結尾部

234-249 コーダ

2楽章:

1-16 主題Aの提示と確保
17-26 主題B
27-43 主題A
44-51 主題C
52-63 主題D
64-78 主題Aの提示と確保
79-91 主題E
92-105 結尾部

3楽章 Allegretto con Variazioni

主題:2部形式

第1変奏:和音を保持した性格変奏
第2変奏:装飾的変奏
第3変奏:動機による性格変奏
第4変奏:ピツィカートを使用した性格変奏
第5変奏:短調による変奏と第6変奏への幻想的な序
第6変奏:1-32長調による変奏曲。全曲の終曲としての自由な変奏。

バッハの演奏解釈

バッハのヴァイオリンソナタ第1番 ロ短調 BWV1014 を弾いてみようと思うのですが、どうしてよいかわからないのです。バロックの作品の演奏解釈となると、装飾音のことなどが話題に上りますが、現代ではほぼ解釈の方法が確立しているような感じです。装飾音や、和声の問題は知っておくべき常識のようなもので、わきまえている必要は大いにありますが、バロックだからと特別に解説するようなことは少ないと思います。

音楽は作曲から徴収へのメッセージですが、バロックの時代には、もちろん音楽が芸術だという感覚は実用的な用途に合うように作曲されたものであり、宗教音楽では、宗教的な儀式をより効果的にするため、そして世俗的な曲については聴衆を楽しませるために作曲されたものです。

古典派以降の音楽はクラシックという確立した様式を基礎にしているので、道筋の立った手法があると思いますが、クラシックの様式をバロックに使用するのは無理なことだと思います。そのような意味でどうしてよいか迷っています。

とりあえず1楽章から手を付けることにします。Adagio

第1部
1-11  冒頭の4小節は主題の提示というよりも、バスとチェンバロの右手によるパターンの提示のようです。6小節のVnによる16分音符によるフレーズでe-mollに転調します。そして8小節のVnによる16分音符によるフレーズでh-mollに転調し、11小節でしっかりとh-mollで終止します。

しかし12小節からはfis-mollにすぐ転調します。その後VnによるダブルストップのフレーズがA-durで始まりf-mollに転調して20小節でf-mollで終止します。

第2部 20-31
第1部は20小節で終止しますが、同時に冒頭のリズムパターンがチェンバロにより提示され、21小節で同じパターンがヴァイオリンとバスに引き継がれます。これで冒頭に戻ったような形式感があらわされています。ここからは冒頭のパターンを縮小したような形で使用して、少し切迫した感じが出ています。そして27小節から前半で使用したヴァイオリンによるフレーズが始まり31小節でh-mollに終始します。

コーダ 31-36
31小節h-moll,32小節e-mollで冒頭のパターンを変形して再現したところで、ヴァイオリンの印象的なソロに続いてしっかりと曲を終わらせます。

どのように演奏したかは演奏が終わった後ご報告します。

第2楽章 Allegro

BachVnSonataBWV1014-0101

テーマの扱い方を見てゆきます。

第1部:提示部

1-4 h-mollによる提示(Vn)
5-8 fis-mollによる提示(Cem)
12-15 h-mollによる提示 (Bass)
15-26 テーマに続く音型を使用した自由な経過
27-40 h-mollによる提示(Vn)と自由な展開

第2部:テーマの展開
41-52 テーマの冒頭を和声的に使用した自由な展開
52-61  Bass(d-moll),Cem(a-moll),Vn(e-moll)によるテーマの提示
62-102  冒頭の音型に導かれた自由な展開。89小節からはfis-mollでCem, Vnの順でテーマが現れてfisが長く演奏されて調整の安定が図られて、101小節でfis-mollで終止する。そのごバスに導かれて再現部が続く。

第3部:テーマの再提示
102-105 h-mollによる提示(Vn)
106-109 fis-mollによる提示(Cem)
113-116 h-mollによる提示 (Bass)
116-126 テーマに続く音型を使用した自由な経過
126-141 h-mollによる提示(Vn)と終止。

上記のように明確に3部分に分けられており、第3部は第1部と同じ構造です。

このような構造ならば

 

セカンドヴァイオリンについて 上達法

弦楽四重奏ではファーストヴァイオリンがリーダーシップを持ちます。世の中ではファーストヴァイオリンよりもセカンドヴァイオリンが好きな方が沢山います。

理由はいろいろあるのでしょうが、ビジネスの世界でもリーダーシップを取りたいと思う人は割合に少ないことを思えば、謙遜しているというわけではないようです。

セカンドヴァイオリンの一番のメリットは練習をあまりしなくても音楽を十分に楽しむことができるという点にあると思います。誤解を避けるために補足すれば、ある人が演奏会でファーストヴァイオリンとセカンドヴァイオリンの両方を弾くとしたら、恐らくファーストヴァイオリンの練習に使う時間はセカンドヴァイオリンの10倍以上になると思います。

そうは言うものの、やはりまともに弾けないと仲間に入れません。最低限さらうことは何でしょうか?
それは、音程、リズムと音量です。音楽的なことについては別に考えてみましょう。

 

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セカンド・ヴァイオリンについて -役割

セカンド・ヴァイオリンの役割とは?

16世紀後半から17世紀にかけて、弦楽器は声楽をサポートするために各声部をなぞる形で使用されました。当時はヴィオールの方がよく使用されたと思いますが、ヴィオールならば2台のトレブル、2台のテナー、1台のバスが使用されたと思います。ヴァイオリン属ならば2台のヴァイオリン、2台のヴィオラ、チェロの構成になります。

この時代にはポリフォニーを基調にしているので、セカンドヴァイオリンに相当するパートは割合に独立していました。
17世紀初期に台頭したオペラなどの影響により、より劇的な表現が必要になり、対として使用される管楽器のようにヴァイオリンも扱われることが多くなり、セカンドヴァイオリンはファーストヴァイオリンに従属する場面が多くなりました。

 

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