カテゴリー別アーカイブ: 演奏

ハイドン 弦楽四重奏曲 Op.20から1曲を選ぶならば?

太陽四重奏曲と呼ばれるOp.20は初期のハイドンのモニュメント的な価値がありますが、一曲を推薦ならばどうなのかということを考えてみたときのメモです。何かのご参考になれば幸いです。作品の順番はHenle版のスコアの
順序にしました。作曲順に並んでいると思います。

それから、、ふと思いついて楽章ごとに難易度を書き込んでみました。難易度の定義が難しいのですが、大体すべての室内楽がほぼIn Tempoで演奏できる人を考えて、その人にとっての難易度を表現しました。ですから初心者の方は、1を2と読み替えると良いかもしれません。技量の問題を中心に評価しています。
難易度の表示:1.少しの練習か初見でも演奏可能、2.事前の練習が必要である。3.時間をかけて準備する必要がある。
 

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セカンドヴァイオリンについて 上達法

弦楽四重奏ではファーストヴァイオリンがリーダーシップを持ちます。世の中ではファーストヴァイオリンよりもセカンドヴァイオリンが好きな方が沢山います。

理由はいろいろあるのでしょうが、ビジネスの世界でもリーダーシップを取りたいと思う人は割合に少ないことを思えば、謙遜しているというわけではないようです。

セカンドヴァイオリンの一番のメリットは練習をあまりしなくても音楽を十分に楽しむことができるという点にあると思います。誤解を避けるために補足すれば、ある人が演奏会でファーストヴァイオリンとセカンドヴァイオリンの両方を弾くとしたら、恐らくファーストヴァイオリンの練習に使う時間はセカンドヴァイオリンの10倍以上になると思います。

そうは言うものの、やはりまともに弾けないと仲間に入れません。最低限さらうことは何でしょうか?
それは、音程、リズムと音量です。音楽的なことについては別に考えてみましょう。

 

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セカンド・ヴァイオリンについて -役割

セカンド・ヴァイオリンの役割とは?

16世紀後半から17世紀にかけて、弦楽器は声楽をサポートするために各声部をなぞる形で使用されました。当時はヴィオールの方がよく使用されたと思いますが、ヴィオールならば2台のトレブル、2台のテナー、1台のバスが使用されたと思います。ヴァイオリン属ならば2台のヴァイオリン、2台のヴィオラ、チェロの構成になります。

この時代にはポリフォニーを基調にしているので、セカンドヴァイオリンに相当するパートは割合に独立していました。
17世紀初期に台頭したオペラなどの影響により、より劇的な表現が必要になり、対として使用される管楽器のようにヴァイオリンも扱われることが多くなり、セカンドヴァイオリンはファーストヴァイオリンに従属する場面が多くなりました。

 

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シューベルト ピアノトリオ 第1番 第1楽章

シューベルトには2曲の素晴らしいピアノトリオがありますが、本来は1曲であったはずのピアノトリオがシューベルトの勘違いにより2曲作曲されることになったという話を聞いたことがあります。出典を調査中ですが、2曲目はとにかく大変急いで作曲されたとのことです。

2曲のトリオの1楽章を比べると、Op.99は時間をかけて計画された感じがしますが、Op.100は慌てて書き始めたような感じがします。それでも名曲に仕上げるのはさすがです。しかし2楽章以降は、やる気が出てきたようで、Op.99に勝るとも劣らない名曲に仕上がっています。

 

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ブラームス ピアノ五重奏曲 Op.34 第4楽章

第4楽章は491小節あり長大ですが、全体の構成は序奏付きの展開部のないソナタ形式です。

序奏部 Poco sostenuto (1-41)
提示部
第1主題部 Allegro non troppo (42-92)
第2主題部 un pochettino piu animato(93-160)
結尾部 TempoI (161-183)

再現部 
第1主題部 Allegro non troppo (184-249)
第2主題部 un pochettino piu animato(250-319)
結尾部 TempoI (320-340)

コーダ Prest, non troppo
第1主題による (341-391)
第2主題による  (392-466)
コーダ (466-491)
 

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ブラームス ピアノ五重奏曲 Op.34 第1楽章

1楽章は分かりにくい楽章です。何度も演奏しましたが、これが果たして名作なのだろうかと疑ったこともあります。演奏するうちによくわからなくなってくるのです。いろいろ考えてみて一応まとまったので書いてみます。

 

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演奏会のお知らせ

CDと生演奏のコラボレーションによる

モーツァルト ピアノ協奏曲の試み

指揮によってCDを操作するソフトであるAdMaestro

を使用してMinus One CDと生演奏のコラボレーション

を行う、世界で初めての試みです。

 

平成27年12月4日(金)

18:30会場 19:00開演 入場無料

ミューザ川崎シンフォニーホール 音楽工房4F 

市民交流室

 

プログラム:

モーツァルト クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581

モーツァルト ヴァイオリン・ソナタ ハ長調 K.296

モーツァルト ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K.466

 

演奏者:花野幸子(Pf)、津留崎護(Cond. Vn )、 門倉俊夫 (Cl)、

門倉ゆかり(Vn)、山田学(Cb)

オリジアス弦楽四重奏団:津留崎護(Vn1)、今村恭子(Vn2)、

田渕良子(Va)、末永直(Vc)

 

主催:オリジアス弦楽四重奏団 協賛:有限会社カモス 

(問い合わせ:津留崎 080-1145-4886) 

ブラームスの ” poco f “

ブラームスの室内楽を演奏すると " poco f" で悩みます。フォルテより少し弱くという意味は分かりますが、なぜフォルテでもなく、mfでもないのか考えてしまいます。それでブラームスがどのような場面で使用するのかを調べてみました。

 

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弦楽四重奏のファーストヴァイオリンを育てる(2)

前回は全体の話でしたから、今回は技術的な話にします。
私がファーストヴァイオリンを弾いていて、自分の音程の上ずりに気が付いたのは29歳ぐらいでした。調べてみるとどれも高音域では上ずっています。チェロに、こちらに合わせてよとお願いするわけにもいきませんし、それ以来ずっと努力しています。皆さんの傾向を見ていると、d"位から上ずりが始まります。もっとも、絶対あってると信じているg’がおかしい方が結構いるのも事実です。
その原因がf'にあるならば、最初からやり直しですね。確かにファーストポジションは徹底的に見直して自信を持つ必要があります。

しかし、一般的な傾向として、上昇するメロディで音が上ずる傾向は誰にでもあるようです。これは耳が悪いからでしょうか?たぶん音階の構造自体に原因があるのではないかと思います。音程のことはいろいろの本に詳しく書かれていますが、メロディの自然な音程についてはあまり議論されていないようです。

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